スポンサーサイト

--.--.-- *--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

シチリアの受難

2007.03.13 *Tue
2007年2月2日金曜日、週末には最大のお祭り“サンタ・アガタ祭”を控えたわれらがカターニャは、町の中心地にあるアンジェロ・マッシミーノスタジアムに、同じシチリア島にして最大のライバルであるパレルモを迎えた。

北西部にある州都、パレルモは、サッカーにおけるここ数年の成功も含め常にシチリアの象徴として在り続けている。エトナ山のふもと、東海岸にはイオニア海を臨むカターニャは、常にそのパレルモに第1の座を譲ってきた。23年振りにセリエAの舞台に臨んだおらが町のチーム、これまでもがあのパレルモに遅れをとろう事など、とても受け入れられることではない。

両チームともに、ヨーロッパ・チャンピオンズリーグ挑戦圏内の好位置につけたこの試合は、シチリア・ダービーと称され、緊迫した空気に包まれていた。
収容人数をはるかにオーバーした客席は、熱狂的なサポーターが居座る、北と南の“クルヴァ席”を先導にいつにも増して熱気を帯び、無数に打ち上げられた花火がスタジアム内のボルテージを最大まで引き上げた。
いよいよお祭りの始まり、すべてがうまく進んでいた。ただひとつ、鉄柵と網で覆われたアウェー側、パレルモサポーターの席が、不気味にもぬけの殻だった事を除いては。

試合は始まった。ホームにて絶対的な強さを誇るカターニャは好調に滑り出す。試合は両者とも引き締まった内容で前半を終えた。そして後半開始まもなく、パレルモが微妙な判定の恩恵によって先制ゴールをあげる。いつのまにかアウェー席は満杯のパレルモピンクで埋め尽くされていた。それに刺激された“クルヴァ席”から、カード型爆弾と発炎筒が飛び交い始めたのは、まもなくのことだった。状況は判断力を失い、そのうちのいくつかがピッチ脇に転がり込み爆音を上げた。

事は起こった。

どういうわけか、クルヴァ側からものすごい勢いで人が散り始める。幾人かの選手はシャツで口を覆い始めた。いったい何がおきているのか。ほどなく、のどは辛く、目がしばたたく。ピッチ脇に居た僕が、それがおそらく催涙ガスであったことに気が付くまでに、そう時間はかからなかった。

試合はどれくらい中断されたか、長い協議ののち、ともかく残りの試合を終わらせることが決定され、試合は再開された。その後1点を返すものの、今度はあろうことか、手によって決められたパレルモのゴールが認められてしまう。今夜のジャッジミスは明らかだった。
試合は1-2の敗北で終了した。

異様な夜だった。更衣室内は納得のいかない判定に騒然となり、外では理性を失った暴徒と機動隊が衝突。出口の外は催涙弾の影響で、まともに目を開けていることも出来ない。
爆音と独特の異臭のなかを、僕らはうまい具合に抜け出てきた。


警察官1名死亡。僕らは夕食のテーブルでこのニュースを聞いた。その後の報道によれば、17歳少年がスタジアムに隠されていた角材で警察官の腹部を強打し、肝臓が破裂。まもなく死亡したとの事。
しかしその裏では、スタジアムの門番係が凶器を隠し持ち、興奮剤によって若者たちを扇動していた事実があった。この門番係と暴動に関わった複数名はすべて逮捕。シチリアマフィアが手をひいていたことも明らかになり、彼らが威力を顕示した結果ともなった。
そしてイタリアオリンピック委員会とリーグのフェデレーションは、その後国内すべてのサッカー活動の無期延期を表明。委員会長の「もうたくさんだ。しばらく考えさせてくれ。」といった表明会見は、さながら権力者を演じる映画俳優のそれにも見えた。

結局は再開されたリーグだったが、フェデレーションはすべてのスタジアムの安全基準改善を義務付け、カターニャは残りシーズンのホーム戦すべてを中立地にて無観客で行う裁定を言い渡された。これによってクラブが被る経済的被害は、試算だけでも数億円にのぼる。新参チームにとっては致命的な数字である。
さらにすべてのスタッフと選手は、半年間にわたる遠征の連続という強行スケジュールを強いられることになった。その他も、末端の僕らがじかに感じている小さなしわ寄せも、決して少なくはない。

シチリアが最も勢いに乗っていたなかでのこの事件は、過去のサッカー暴力事件史上、例を見ぬ重たい裁定となった。一人の命が失われたことを軽視することはできない。しかし、国営放送RAIで行われた特番にて司会者が最後に言った一言は、イタリア社会に根付く複雑な問題を提起していたとも言える。

「みなさん、この2チームがもしシチリアのチームではなく、また今シーズンのここまでの好調を保っていなかったならば、はたして同じ結果になっていたのでしょうかねぇ。」









さて、最近起こった二大マイ出来事のふたつめを書いてみたら、なんだかめんどくさい話に仕上がってしまった様です。要は催涙ガスってからいんだよ、と言いたかったわけで。

こんどはシチリアのオレンジがうまいだとか、そんな話にしてみようかと。
スポンサーサイト
COMMENT : 6
TRACKBACK : 0
CATEGRY : 未分類

COMMENT

あれ?
youtubeのアドレスのっけたんだけど、リンクされないんだねこれ。
ひまだったらコピッて見てみてください。

数日インターネット見れませんのであしからず。
2007/03/13(火) 07:06:27 | URL | kyoichiro #- [Edit
命がけだね〜。
暴動で襲われそうになったら柔道で投げて下さい。
シチリアのオレンジ食べてみたい・・・(笑)
2007/03/13(火) 13:45:52 | URL | さくら #- [Edit
もりもと
「靭帯断裂の疑い」のニュースが飛び交っているんだけど。大丈夫か?
2007/03/13(火) 14:13:11 | URL | evita #- [Edit
小説みたい・・・
きょうちゃんの文章すごいね〜小説読んでるのかと思ったよ。
そんな激しい状況をテレビで見てて、「外国はスポーツ観戦も命がけだなぁ」なんてのんきに見てたけど、他人事で見れなくなってきたよ。無事でよかった(-_-;)
2007/03/13(火) 18:11:15 | URL | とも #- [Edit
相変わらず雰囲気ある文章だなあ
そのままではリンクされないよ。

範囲を指定して「リンクを挿入する」を選ばないと。


kyonの文体、雑誌の「number」のようだね。

2007/03/13(火) 21:05:42 | URL | ニック #lCBQkjls [Edit
>さくら
襲われそうになったら逃げます(笑

>evita
その件に関しては次回書きまっせ。

>とも
なんとなく状況が伝わればうれしいうれしい。
とりあえず危ない時もあるから気をつけばね。

>ニック
オッケー次回やってみます!
numberは大げさだけども。ともかく今回は書き疲れた(笑
2007/03/17(土) 07:50:04 | URL | kyoichiro #- [Edit

Comment Form


秘密にする
 

TRACKBACK

TrackBack List

プロフィール

kyoichiro

Author:kyoichiro
FC2ブログへようこそ!



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



FC2カウンター



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する



Copyright © たまに日記 All Rights Reserved.
Font from あくび印 Designed by サリイ  |  
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。